誕生秘話

「チーズ鱈」はどのようにして
誕生したのでしょうか?
開発から誕生に至るまでの
ご紹介をします。

新しい商品づくり

「チーズ鱈」の始まりは、1980年代、日本人のライフスタイルや食生活が変わり、少量でも良いから美味しいものを食べたい、というニーズが年齢を問わず一般化し、食の洋風化が進んできた頃でした。

そんな中、二代目社長には、「これからも今と同じような珍味をつくっていていいものか、手軽に食べられる美味しいものを徹底的に追求し、商品化して消費者に提供していこう」「これまでの商品のカラを破り、和にとらわれず、食スタイルのトレンドに対応した新しい視点から商品づくりをしよう」という熱い思いがありました。

「チーズ鱈」発売当初増築前の埼玉工場

「チーズ鱈」発売当初増築前の埼玉工場

チーズを使った
和洋折衷珍味の開発

なとりのロゴマークの由来のひとつにもなっている「東洋」と「西洋」を融合させた新しい商品づくりを行うことを目指した商品開発が始まりました。

初代社長が、一口サイズのチーズをキャンディ包装した「一口チーズ」を開発、販売しましたが、冷蔵庫が普及していなかったため、うまくいきませんでした。二代目社長は、そんな初代社長の思いを受け継ぎ「西洋」の素材「チーズ」に着目したのです。

まずはチーズの検討です。国産はもちろん、ヨーロッパ、アメリカ、ニュージーランドなど世界から数十種類のチーズを取り寄せ、沢山のチーズの食べ比べを行い、北欧産ナチュラルチーズが選ばれました。ただし、当時の日本人にはナチュラルチーズは癖が強すぎて合わなかったので、ナチュラルチーズを使ったプロセスチーズを使用することに決めました。

なとりのロゴマーク

なとりのロゴマーク

「チーズいかの開発」

今度は、「西洋」の素材「チーズ」に合わせる「東洋」の素材の検討が始まりました。当時、おつまみといえば「いか」が主流だったこと、「いか」の間にウニを挟んだ「うに松葉」がロングセラー商品であったこともあり、ウニの代わりにチーズを挟んだ「チーズいか」の開発を行いました。

「一口チーズ」の失敗から、チーズ使用のポイントは、チーズを常温流通に耐えられるようにすることでしたが、それは、化学メーカーと共同開発を行い、脱酸素剤を使用することで解決。また、難しかった「チーズ」と「いか」の貼り合せ方法も試行錯誤の結果、なんとかクリアし、試作品が完成しました。

ところが、脱酸素剤を使用すると、時間の経過で「いか」が赤く変色するという問題が新たに発覚。解決すべく開発者達は研究を繰り返し行いましたが、打開策は見つからず「チーズいか」の開発は断念せざるを得ませんでした。

当時のロングセラー商品「うに松葉」

1975年発売のロングセラー商品「うに松葉」

「チーズ鱈」の誕生

「チーズいか」の開発からは離れることにしましたが、「チーズを使った和洋折衷珍味」を作りたいという思いは変わりませんでした。なんとか「いか」の代わりになる素材を見つけ出そうと、開発を続けていました。

そんな中、考え出されたのが、「鱈」を使うという案でした。ただ、当時は「いか」が「おつまみの王様」。珍味業界の常識から「いかと鱈では勝負にならない」と反対する声も多くあり、開発を進める上で躊躇もありました。しかし、「チーズ」を使うという点を第一に考え、「鱈」を使った「チーズ鱈」を開発したのです。

試作品を社内で試食したところ、「これは、いける!」という高い評価。さらに、試供品を全国のスーパー、小売店などに何十万個も配布し、寄せられた反響も上々だったことから商品化が決まりました。

1982年、「チーズ鱈」は今までにない新しいタイプの商品として売り出しました。売れ行きよりも「既成商品の枠を超えた新しいタイプの商品を世の中に出すきっかけになれば十分」という考えだったのですが、予想とは裏腹に飛ぶように売れました。三菱総合研究所から発表された、その年の「成長消費財トップ20」新製品部門で一位を獲得し、更に注目を集め大ヒット商品となりました。

発売当初の「チーズ鱈」

発売当初の「チーズ鱈」

愛され続ける「チーズ鱈」

おかげさまで、「チーズ鱈」は発売当初から今日まで多くの方々に食べていただき、2022年に40周年を迎えることができました。

「チーズ鱈」が長年、お客様に支持されてきた大きな理由は味わいです。濃厚なチーズとあっさりとした鱈を絶妙なバランスで組み合わせることで、幅広い年代の方になじみやすく、食べやすい味わいになっています。また、チーズそのものと違って、鱈でサンドしているため、手がべたつかないのが特長です。そして、通常、冷蔵であったチーズを、いつでもどこでも手軽に食べられる常温にしたことで、よりお客様の身近に感じられる商品になったと考えております。

“美味しいおつまみ”を提供したいという熱い思いで、食の洋風化という流れに応じた商品を作り、今日まで「チーズ鱈」の美味しさを守りながら、常に進化し続けてきました。時代ごとに嗜好にあったチーズを選び抜き、最高品質の「チーズ鱈」をお届けすることができました。

2015年2月には、日本食糧新聞社が制定する第33回食品ヒット大賞「ロングセラー賞」を受賞しました。なとりは、「これまでも」そして「これからも」、様々な食シーンで楽しさを演出する「チーズ鱈」をつくり、「チーズ鱈」を通して、お客様に「ひとつまみの幸せ。」をお届けします。

愛され続けるチーズ鱈